会社設立の最短10ステップ - 株式会社を設立する流れ
まずは、会社設立の概観をざっくりとおさえておきましょう。
株式会社を設立するにあたっての事務費用は約24万2,000円です。(合同会社の場合は約10万2,000円)
設立後に発行する「登記事項証明書」と「印鑑証明書」の料金を含めると、約24万3,050円となります。
内訳は下記の通りです。定款印紙代は、電子定款の場合は不要になります。 印鑑証明書や登記事項証明書は複数枚用意しておいた方が良いので、 実際にはもう少しだけ料金が高くなります。
支払先 | 手続き | 金額 |
---|---|---|
公証役場 | 定款認証 | 50,000円 |
定款印紙 | 40,000円 | |
定款謄本 | 約2,000円 | |
法務局 | 登録免許税 | 150,000円 (もしくは資本金の1,000分の7。) |
登記事項証明書 | 1通 600円 | |
印鑑証明書 | 1通 450円 | |
合計 約243,050円 |
これに加えて、資本金を用意することになります。 従来は有限会社の場合300万円以上、株式会社では1,000万円以上の最低資本金が必要でしたが、 現行法では資本金1円で株式会社を設立することもできます。(2006年以降、有限会社の設立はできません。) ただ、1円で設立するのは現実的ではありません。 実際には、数百万円以上の資本金を用意することになります。
それでは、会社設立の準備をはじめてから、実際に会社を設立するまでの流れを10ステップに分けてみていきましょう。
- 会社の基本情報を決める
- 会社印鑑を発注する
- 税理士・司法書士と契約をする
- 個人の印鑑証明書を取得する
- 本店所在地の確定
- 定款の作成・認証
- 資本金の振込・通帳コピー
- 残りの登記書類を作成する
- 法務局へ登記申請をする
- 設立完了 - 設立後に始められる手続きの準備
上記のステップ1からステップ10までは、最短1週間程で完了します。 一般的なペースで手続きを進めていけば、10日〜14日前後はかかるはずです。 ゆっくり準備をすると1ヶ月程の工程になります。
1. 会社の基本情報を決める
まずは会社の基本的な情報を決定しましょう。下記の内容は、後に出てくる「定款(テイカン)」という書類に記入するので、事前に決めておく必要があります。
下記の項目を決めておきましょう。
項目 | 例 |
---|---|
会社名(商号) | 株式会社サンプル |
事業目的 | インターネットでの物品販売 |
本店所在地 | 東京都新宿区◯◯ 1丁目1番1号 ◯◯ビル1階 |
資本金 | 300万円 |
資本金の出資者 | 山田 太郎 |
機関設計 | 取締役 1人のみ |
事業年度 | 1月1日〜12月31日 |
2. 会社印鑑を発注する
会社を設立するための申請書類に会社の代表印を押印するので、 会社の印鑑は会社の設立前に作成する必要があります。 発注してから出来上がるまで数日かかるので、会社名がきまったら会社印鑑を発注しておきましょう。 会社設立3本セット - SUPERHANKO
一般的な会社印鑑セットは、代表印・銀行印・角印の3つがセットになっています。 これから会社設立する方は、これら3種類がセットになったものを購入しておけばOKです。
上記の3つがセットになった会社印鑑セットの相場は、大体3,000円〜10万円で、 印鑑の材質によってピンキリです。会社印鑑は長く使うもので、各種契約や銀行手続きの際などに人の目にふれるものなので、 1万円前後の物を購入しておくことをおすすめします。
3. 税理士・司法書士と契約をする
国内の株式会社の85%以上は税理士と契約を結んでいます。 個人事業の経理とは違って、会社の経理と確定申告は難易度が格段に上がるので、 会社の設立前に税理士と契約を結んでおきましょう。
なぜ、会社の設立前に税理士契約をおすすめするかというと、 税理士契約を前提にすれば、会社設立の代行費用をタダにしてもらえる事が多いからです。 前述の通り、会社設立の手続きを全て自分で行っても最低約24万円はかかります。 税理士契約を前提にすれば、書類作成や事務手続きの代行が込みで約24万円という形にできるわけです。
会社設立の代行を請け負うのは司法書士ですが、 士業で横のつながりがあるので、税理士と契約をすれば設立代行をしてくれる司法書士を紹介してもらえます。
「うちと顧問契約をむすんでくれるなら、会社設立の代行費用はもちますよ」 という税理士さんは多いです。 ですので、税理士契約をするのであれば会社設立後よりも会社設立前がお得と言えます。 税理士紹介の税理士ドットコム
4. 個人の印鑑証明書を取得する
会社印鑑の印鑑証明書ではなく、個人の印鑑証明書を用意します。 発起人(資本金の出資者)と役員個人の印鑑の印鑑登録をして、 それぞれの人が印鑑登録証明書を取得します。この証明書は、後で他の登記書類と一緒に提出することになります。
- 発起人の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの) 各1通
- 役員(取締役)の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの) 各1通
あなたが「発起人 兼 役員」の場合は、合計2通を用意します。
- 印鑑証明とは?
- 印鑑証明とは、役所に登録した自分のハンコが本物だということを証明することです。 まず役所で印鑑登録をして、その後、印鑑証明書を取得するという流れになります。
印鑑登録をして、印鑑登録証明書を取得するには、下記のものをお住まいの役所に持参しましょう。 印鑑登録の手数料は200円〜500円程(お住まいの自治体によって異なる)。 印鑑証明書の発行手数料(1枚あたり)は200円〜400円(こちらも自治体によって異なる)です。
印鑑登録証明書を取得する際に役所へ持参するもの
- 登録したい個人の印鑑
- 身分証明書
- 手数料(合計 約400円〜900円)
5. 本店所在地の事業所を契約する
登記申請の書類として提出する「定款」に、本店所在地を記入することになります。 住所地を記入する場合は、店舗や事務所の契約を事前に結んでおきましょう。
ただし、例えば自宅を本店所在地にするなど、すでに本店所在地となる場所を確保している場合は、 このステップは読み飛ばしてかまいません。
ちなみに、会社設立後に定款の住所地を変更する場合には、 管轄内の場合で、3万円の手数料がかかります。(管轄外へ移転する場合は6万円かかります。)
6. 定款の作成・認証
会社の基本情報が決定したら、いよいよ定款を作成します。 といっても、STEP3で契約した司法書士が用意してくれる書類に必要事項を書き込めばOKです。
作成した定款は、司法書士が公証役場へ提出してくれます。 そして公証人の認証を受ければ、法的効力のある定款が完成します。 作成した定款は、後述するステップ9の中のひとつの書類として法務局へ提出することになります。
7. 資本金の振込・通帳コピー
株式会社を作るのに必要なのが資本金です。 資本金は1円以上で会社設立できますが、 常識的・実務的には最低でも100万円以上は用意しておきましょう。
会社設立前に、会社の名義で法人の銀行口座を作ることはできないので、 用意した資本金は、発起人の個人口座に、発起人の名前で振り込めばOKです。 (発起人が複数いる場合は、発起人代表者の個人口座にそれぞれが振り込む)
振りこまれた通帳の、以下のページのコピーをとって、 この後のステップで作る登記書類と一緒に提出することになります。
資本金が振り込まれた通帳でコピーをとる箇所
- 通帳のおもて表紙
- 支店名、口座番号などが記載されたページ
- 発起人の振込が記載されたページ
8. 残りの登記書類を作成する
登記のために必要な下記の書類を用意します。 取締役全員の印鑑証明書はステップ4、「定款」はステップ6、払い込みを証明する書面はステップ7で、 それぞれ用意しましたね。 あとは、司法書士の指示通りに、用意してもらった書類へ記載や押印をすればOKです。
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙
- CD-R
- 定款(ステップ6で用意済み)
- 発起人の決定書
- 取締役の就任承諾書
- 代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 取締役全員の印鑑証明書(ステップ4で用意済み)
- 払い込みを証明する書面(ステップ7で用意済み)
- 印鑑届出書
CD-Rには、会社設立の際の情報として必要な、いわゆる「登記すべき事項」を保存して提出することになっています。 この作業は司法書士が行ってくれます。
9. 法務局へ登記申請をする
書類の用意が終わったら、司法書士に登記申請をしてもらいます。 司法書士はあなたから預かった上記の登記書類を法務局へ提出してくれます。
登記申請を出す日が、会社の設立日となります。登記が認証される日ではありません。 つまり、会社の設立日は自由に決められるということです。 (土日や祝日、年末年始は法務局が閉まっているので設立日にできません。)
10. 設立完了 - 設立後に始められる手続きの準備
登記申請が承認されれば、無事に会社設立の完了です。
会社設立が完了することで、登記事項証明書(登記簿謄本)という書類が受け取れます。 この書類は、税務署や年金事務所をはじめとして、 銀行の法人口座の開設や法人クレジットカードなど、法人として行う様々な契約で必要になります。 設立完了したらこの書類を使って、もろもろの契約を進めましょう。
STEP10. 会社設立の完了 - 登記完了後の手続きについて