会社の基本情報を決定する
起業の決意が固まれば、会社に関する基本的なことを決めていきましょう。 ここで決めた内容は、登記書類のひとつとして法務局へ提出する「定款(テイカン)」という書類に記入することになります。
項目 | 概要・例 |
---|---|
会社名(商号) | 株式会社サンプル |
事業目的 | インターネットでの物品販売 |
本店所在地 | 東京都新宿区◯◯ 1−1−1 ◯◯ビル1階 |
資本金 | 300万円 |
資本金の出資者 | 山田 太郎 |
機関設計 | 取締役 1人のみ |
事業年度 | 1月1日〜12月31日 |
会社名(商号)
会社名を決める時に最低限意識しておくべきことは、以下の内容です。
- 前株か後株か(サンプル株式会社 or 株式会社サンプル)
- 同じ商号で商売をしている会社がないか
会社名を決める際にはネット検索して、 他に同業で同じ名前の会社がないかなどは最低限調べておきましょう。 将来的に顧客から会社名で検索してもらって、自社のホームページを検索エンジンで上位表示したい場合などは、 他にないユニークな会社名にしておく必要があります。
事業内容
例えば、以下のような形で将来的に行う事業内容を列挙しておきます。 (定款では「事業目的」と表現されています。)
- インターネットでの物品販売
- レストランの経営
- 食料品、食品添加物、飲料品の販売及び輸出入
本店所在地
本店所在地とは、会社の本店の住所です。 本店所在地は定款に記入するので、この段階で決めておく必要があります。 必ずしも事業を主に行う場所を本店にしなくても構いません。
本店所在地は、独立の最小行政区画である市区町村(東京23区の場合は「区」)までを記載すれば良いので、 ビルや部屋番号まで正確な住所を決定しなくても構いません。 例えば、以下の住所まで決めておけばOKです。
- 神奈川県横浜市
- 東京都新宿区
本店所在地の正確な住所が決まっている場合は、ビル名や部屋番号まで定款に記入しても構いません。 また、大家さんとの賃貸契約さえクリアできれば、自宅を本店所在地とすることも可能です。
ちなみに、会社の設立後に本店所在地を移動した場合などで、 定款を変更するには3万円~6万円の手数料がかかります。
資本金
以前は株式会社の設立に1,000万円以上の資本金が必要でしたが、 2006年以降は資本金が1円以上あれば設立できることになりました。 ただし、常識的・実務的には最低でも100万円以上は用意して会社設立しましょう。
資本金を決める際のポイントは以下の2点です。
- 資本金1,000万円未満にすれば、最大2年間は消費税を納めなくて良い
- だいたい「初期費用+3ヶ月分の運転資金」は用意しておく
新規開業時は何が起こるかわかりません。計画したとおりに事業が進まないこともあるでしょう。 3ヶ月間売上がなくても事業が継続できるぐらいの資金は必ず用意しておきましょう。
資本金の出資者
あなたが自分のお金で会社を設立する場合は、あなた自身が出資者となります。 他の方にお金を出資してもらう場合には、 誰からいくらお金を集めるかを決めておきましょう。
資本金の出資割合・出資比率を考えるうえでのポイントは、 以下の2点です。
- 「1/2(50%)超」で経営権を獲得できる
- 「2/3(66%)超」で重要事項を議決できる
あなたが代表取締役の場合、最低でも50%超の資本金を自分で用意することをおすすめします。 代表取締役が1/2超の株式を保有していないと、いつでも解任されるというリスクを負います。
機関設計
機関設計とは、株主総会や取締役の構成をどうするかを決めることです。 株主総会と取締役は、どの株式会社も必ず置かなければなりませんが、 その他の機関は任意で設置するかしないかを選択できます。 株式会社の機関には、以下のようなものがあります。
機関 | 概要 |
---|---|
株主総会 | 株式会社の最高意思決定機関。取締役や監査役の選任・解任など、重要事項を決定する。株主総会には、年に1度の定時総会と、必要に応じて開催する臨時総会がある。 |
取締役 | 株式会社の業務執行を行う機関 |
取締役会 | 取締役3人以上で構成され、代表取締役の選任などの重要事項を決定する機関 |
監査役 | 取締役の業務執行や会計を監査する機関 |
会計参与 | 計算書類の作成などを行う機関 |
事業年度
個人事業の事業年度は1月1日~12月31日と定められていますが、 法人の場合は自由に事業年度を決めることができます。 一般的には、3月決算の会社が多いです。 3月が決算月ということは、4月1日~翌年3月31日が事業年度ということになります。
事業年度を決める際のポイントは、以下の点です。
- 会社の繁忙期はいつか?
- 消費税の免税期間
- 納税にともなう資金繰り
会社の繁忙期はいつか?
決算の作業は手間と時間がかかるので、 会社の繁忙期と決算時期をずらしておくというのがひとつの考え方です。 閑散期に決算月を設定することで、余裕をもって決算作業を行うことができます。
あるいは、期首に繁忙期がくるようにすることで、その年度の売上・利益予想を立てやすくできます。 売上と利益の予想がたつことによって、最適な役員報酬を設定することが可能です。 (役員報酬の支給額を変更できるのは、事業年度開始の日から3ヶ月以内)
消費税の免税期間
資本金1,000万円未満の会社であれば、設立してから最長2年間は消費税の納付が免除されます。 この免税期間をできるだけ長くするには、会社の設立日から最も離れた月を決算月にします。
納税にともなう資金繰り
決算から2ヶ月以内に法人税や法人住民税、消費税などを納付することになります。 この時期に資金繰りが苦しくならないよう、決算期を考慮する必要があります。
上記のように節税や資金繰りなど、あなたの会社が重視するポイントに応じて決算月を決定しましょう。 会社の事業年度・決算月は、後で変更することも可能です。
会社設立の10ステップ
- 会社の基本情報を決める ←いまココ
- 会社印鑑を発注する
- 税理士・司法書士と契約する
- 個人の印鑑証明書を取得する
- 本店所在地の確定
- 定款の作成・認証
- 資本金の払い込み・通帳コピー
- 残りの登記書類を作成する
- 法務局へ登記申請をする
- 設立完了 - 登記完了後の手続き